心理臨床カウンセリングセンター主催フォーラムが開催されました

カウンセリングセンター
2018.08.03

2018年7月21日、心理臨床カウンセリングセンター主催フォーラム「心理職における個別相談の意義」が開催されました。新研究科において来年度から公認心理師の養成を開始するにあたって、多領域で活動する心理専門職の役割や意義をあらためて討論しました。

 

フォーラムは本学の石崎淳一教授の司会のもとに、本学に所属する若手臨床家3名が心理職の個別相談の意義についてそれぞれの立場から話題提供があり、充実したディスカッションが行われました。

心理臨床カウンセリングセンターの小野真嗣氏からは「不登校の小・中学生のケースに10年間関わって」というテーマで、中川裕美講師からは「EAPにおける職場復帰支援」というテーマで、また、竹田剛講師からは「見えるものと見えないものの統合実践」というテーマで話題提供いただきました。

 

それぞれの内容は次の通りです。

 

<小野真嗣氏>

現在のスクールカウンセラーは外部の専門家であり、学校領域で関係者と連携できる体制を作っている。不登校の個別相談では初期対応を特に大事にしており、子どもの状況や心理状態を分析しながら、次の相談にいかにつなげるかを意識している。分析をする際に心理学の理論を用いており、分析結果をもとに支援や連携を行うことが、心理専門職の果たしている役割である。

 

<中川裕美講師>

EAP(Employee Assistance Program)で行う、うつ病等による休職者への復職支援は、症状に対する心理教育や休職要因の振り返り、再発予防、環境調整に向けた職場へのコンサルテーションなど多岐にわたる。中でも、心理の専門家による個別相談の意義は、休職に至った心理的要因をアセスメントし、ともに働きかたを振り返り、休職者自身に進路を選択してもらえるよう支援することにある。そうしたアプローチに基づき医療機関や企業関係者と連携していくことが重要である。

 

<竹田剛講師>

医療現場では現実的側面への介入や心理教育による情報提供など、いわば「見えるもの」を扱うことが求められる。しかし患者の葛藤や両価性に配慮し、無用の傷つきを避けて個別相談を進めるには、患者のもつ物語性や生物-心理-社会面での相互影響性、または無意識下のこころの動きなどを感じ取って介入を調整すること、つまり「見えないもの」を扱うことも重要である。そしてこれらを統合して実践することに心理専門職の意義がある。