研究科長ごあいさつ

社会が求める公認心理師を育成します

2019年4月に心理学研究科を開設しました。本学大学院ではそれまでの10年以上、臨床心理士などの心理専門職を養成してきました。そうした経験と蓄積を活かして、わが国で初めての心理専門職の国家資格として公認心理師が誕生したことを受け、その養成を開始しました。法制定の趣旨に述べられているように「国民の心の健康の問題」は現在の日本の重要な課題であり、それを支える心理専門職の養成は私たちの責務であると強く感じているためです。

本研究科では、長期の学外実習を重視し、全ての院生に法が定める90時間を大幅に超える現場施設の実習をおこなっています。一方、公認心理師の5分野である医療、福祉、教育、司法、産業について、各支援現場を知ってもらうために短期の重層的な実習を組み合わせて提供しています。そして、それらと並行して附設の心理臨床カウンセリングセンターにおいて院生は面接担当者となり、継続的な心理支援の実地トレーニングを受けます。

加えて、修士課程では修士論文の作成が必要です。本研究科では、研究指導教員が担当する院生は2人程度にしています。教員と少数の院生との密接な協働関係を通して各人の個性的な研究活動を支えます。院生には院生室に自分のデスクがありますので、そこを拠点として学修・研究活動を進めていきます。

本学には多くの公認心理師有資格者の教員がいるため、長期の学外実習の担当教員、学内のカウンセリングセンターの実習の担当教員(ケースのスーパーバイザー)、修士論文の研究指導教員は原則的に別にしています。これは院生が多様な教員の多様な視点から指導を受けられるようにするためです。その上で、研究科の構成員が全体として各院生の学修と成長を支えられるように、各教員・スタッフが有機的な情報共有と連携を心がけています。

また、修士課程の最後(3月)には国家試験の受験が待っています。そのため本研究科では修士2年次の後期は、国試対策として外部講師による連続的な試験対策講座や模試、教員による勉強会等、受験に向けた体制を作っています。(以上についてのより詳しい内容はHP等の記事をご覧ください)

このように公認心理師を目指す修士の2年間は院生にとっても教員にとってもなかなかハードなカリキュラムなのですが、そこから質の高い心理支援の専門家が育っていくのだと考えています。いかに良い専門的人材を社会に送り出すか、そのことは私たち養成する側のミッションの中心命題だと考えています。

さらに、本研究科では博士後期課程を開設し、高度な心理専門職の指導的人材の養成をおこないます。最新の科学的知識をアップデートして、それまでの専門職としての実務経験を生かした研究に取り組み、ステップアップを目指してください。臨床実践をさらに高度なものにする学びの世界を体験しましょう。

神戸学院大学 心理学研究科

研究科長  石﨑 淳一

Dean of Graduate School  Junichi Ishizaki