【CoCo-Navi.コラム】ワクチン接種に潜む差別の影
- CoCo-Navi
- 2021.07.16
皆さんはもう新型コロナウイルス用のワクチンを打ちましたか?学生である皆さんはもうすぐ打つという人が多いと思います。日本国内ではワクチンを打つべきと考える人や、科学的根拠が薄いため打つべきではないという人、ワクチン接種による死亡事例が報道された影響から打つことに抵抗感がある人たちなど、さまざまな意見が飛び交っています。また、ワクチンを打ちたくても健康上の問題や時間の都合、順番待ちなどの事情で打てない人も沢山いるのが現状です。そんな中、ワクチン接種が日本より進んでいるアメリカで、ワクチンの接種経験があるかないかで格差や差別が生まれるのではないかという懸念が高まっています。
アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)によると、アメリカでは2021年5月29日の時点で、人口の半数以上が少なくとも1回はワクチンを接種済みであるとのことです。そのような中、ワクチンを打っていない「未接種者」との接触を避ける行動や、未接種者は参加不可のイベントの開催などが増えてきており、一見コロナ対策と思えるような行動の中に、差別が生まれる可能性があることが指摘されています。
「差別」と、差別ではない「区別」の違いは非常に曖昧です。今回の一番の問題点は、社会的な正当性を持って差別が行われる可能性があるということです。健康上の問題や順番待ちの都合でワクチンを打てない人が社会の流れに反しているとされ、敬遠される状況は、避けなければならないと感じます。
このことは、「感染症を防ぐためにワクチンを打つ」という正当性が差別に繋がる可能性を示しています。私たちにできることは他者の背景に何があるのかを見極め、人それぞれの事情について推測することを大切にし、正当性を盾に相手を非難したり、社会のルールと差別を履き違えたりすることがなくなるように、心がけることではないかと思います。皆さんはどのように考えますか。
<参考>
安部 かすみ (2021). 米国で見え隠れする「ワクチン差別」…「ところでワクチン打った?」という
会話に潜む危険性. Retrieved from https://t.co/rAG1mAs6GR?amp=1(2021年6月3日)
NHK NEWS WEB (2021). 米 コロナワクチン 1回接種した人の割合 人口の半数超える.Retrieved
from https://t.co/m5UlL36rat?amp=1(2021年6月3日)
森本 康子・大渕 憲一・池上 知子・高 史明・吉田 寿夫・伊住 継行(2020).今、差別を考える -社会
心理学からの提言- 教育心理学年報, 59, 304-314
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執筆担当:心理学部学生広報チーム
前田孝彦 心理学部心理学科2年次生
兵庫県尼崎市出身 「元気に毎日を過ごしています」