【CoCo-Navi.コラム】「左に曲がる習性」は本当か<特集:○○と心理>

CoCo-Navi
2022.08.01

 近年、少年漫画原作のアニメが人気を増しています。私もコロナ禍でアニメを好きになり、漫画も読むようになりました。そして先日、『名探偵コナン』を読んでいるときに気になるセリフを見つけました。そのセリフとは、「人間は追いたてられると…左に曲がる習性がある…」というものです(青山,2021)。これは、あるFBI捜査官が悪い組織に追われてとっさにT字路を左方向に逃げたものの、組織の人間に見つかってしまう、という場面のセリフです。では、本当に人間は左に曲がる習性があるのか、日常生活において何気なく左に曲がっている瞬間を探してみました。

 1つ目はスーパーです。私は一人暮らしで、基本的に自炊をしているので週に一度はスーパーに行きます。その時はまず向かって右側の入り口から入り、左回りで店内を回って商品をかごに詰めた後レジに並びます。右回りで買い物することも可能なのに、なぜかいつも左回りの順路で買い物をしています。

 2つ目は運動場のトラックです。大学生になり運動場のトラックを利用することはなくなりましたが、高校生の時までは体育の授業や体育祭等でトラックを走る機会がありました。それを思い返してみると、誰かに指示されているわけでもないのに左回りで走っていました。これらの例以外にも、日常生活を振り返ると何気なく左に曲がっていることがたくさんありました。

 実はこの「人間が左に曲がる習性」は、マーケティングの世界では「人間左回りの法則」と呼ばれています。人間が左に曲がる原因は諸説あり、「心臓が左にあるから」や「利き足が右の人が多いから」と様々ですが、はっきりした根拠は存在しないそうです。しかし、導線を左回りにしたことで売り上げが伸びたお店もある(山口,2010)ので、「左回り」には何か科学的な秘密が隠されているかもしれません。

 『名探偵コナン』には、左回りの法則の他にもゲシュタルト崩壊や錯視を使ったトリック(青山,2012)など、心理学を利用したストーリーがいくつかあります。みなさんも、漫画やアニメの中の心理学が利用されている部分を探してみると面白いかもしれません。

<参考文献>
青山 剛昌(2012).名探偵コナン(第75巻) 小学館
青山 剛昌(2021).名探偵コナン(第100巻) 小学館
山口 隆久(2010).消費者行動心理(理大の“栞”その20) 岡山理科大学 Retrieved from https://www.ous.ac.jp/kikaku50/bookmark/bm020e.html(2022年7月11日)

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執筆担当:心理学部学生広報チーム
岩本未優 心理学部心理学科2年次生
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