【CoCo-Navi.コラム】そのBGMが君を主人公にする<特集:○○と心理>

CoCo-Navi
2022.08.01

 ドラマ、アニメ、映画などの映像作品を、皆さん一度は見たことがあると思います。これらには、現実にはないフィクションならではの要素が多々あります。そのうちの一つとして、物語の世界観を創りあげる舞台装置であるバックグラウンドミュージック(BGM)についてお話したいと思います。

 あのカッコいいシーン、あの泣ける場面には、いつも気持ちを盛り上げるようなBGMがついていますよね。でも残念ながら、私たちの生きるこの世界で、私たちが、世界観を構築するためのBGMを感じ取ることはできません。それは私たちが、この世界の中で生きる住人だからです。物語の中のキャラクターも「今こんなBGMがかかっているな」なんて言いませんよね?

 とはいえ、私たちの生活の中でBGMのような存在がどこにもない、というわけではありません。音楽は私たちにとって、今やとても身近な存在となりました。例えば、スマートフォンに音楽を入れておけば、いつでもどこでも音楽が聴けます。イヤホンやヘッドホンを耳にして、音楽を流しながら道を歩いたり、公共交通機関に乗ったりしたことが皆さんも一度はあると思います。その瞬間、あなたの聴いている音楽は、あなたという主人公が生きている世界でのBGMといっても差し支えないのではないでしょうか。

 音楽は人の想いに影響を及ぼすことが知られています。寺田・三雲(2016)によると、音楽は聴取者に良いイメージを喚起させ、自信を持たせる力、自己効力感を向上させる力をもつと考えられるそうです。

 あなたがBGMとして聴いている曲は、あなたの気持ちを代弁したものであったり、寄り添うものであったりと、その時々に応じてあなたが無意識に求めている曲になっているのではないでしょうか。意識していなくとも、あなたは自分の今聞きたい、今の自分に合った曲を選び、あなたが主人公の「映像作品」を創り上げているのです。

<参考文献>
寺田 知世・三雲 真理子(2016).音楽聴取による気分および人格特性的自己効力感への影響——歌詞とメロディの検討—— 日本認知心理学会第14回大会発表論文集, 122.

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執筆担当:心理学部学生広報チーム
菅野 真愛 心理学部心理学科3年次生
「線香花火に憧れました」