【CoCo-Navi.コラム】振り回される恋愛をしてしまう人の特徴<特集:○○と心理>
- CoCo-Navi
- 2022.08.01
コロナ禍の外出規制は去年と比べると緩和され,外出する機会が増えたのではないでしょうか。新しい環境やコミュニティに属することで,出会いもあったのではないかと思います。そこで,恋愛と心理について少し考えてみたいと思います。
皆さんの周りに「困っている人・かわいそうな人」ばかり好きになってしまう人はいませんか?例えば,ある男性が駅で困っている女性を助けました。助けた結果,男性は終電を逃しタクシー代に一万円を出す羽目になりました。しかしその後,男性はその後,助けた女性のことが気になって仕方ありません。好きになってしまったのです。
助けられた女性が助けた男性を好きになるのは分かると思いますが,多大なる不利益を被った男性が女性を好きになるのは理解しがたいのではないでしょうか。これは,フェスティンガー(Festinger, 1957)が提唱した認知的不協和理論で説明することができます。認知的不協和理論とは,自分が持っている認知とは別の矛盾した認知を持つときにモヤモヤした気持ちを覚えて,それを解消するために考えや行動を変えるという理論です。自分とは無関係の女性を大きな犠牲を払って助けるという,認知と行為の不一致に対して,男性は「好きだから助けたのだ」と無意識的に認知を変化させることで,矛盾を解消したのかもしれません。
また,いつもかわいそうな人ばかり好きになる人には特徴があると言われており,この男性もそのような特徴を持っていたのかもしれません。人を助けることで自分の価値・存在意義を確認する無意識的な心の働きはメサイアコンプレックスと呼ばれます。そのような人の中には,他者を救うことで自分の心の穴を埋め,人を助けることで自分の寂しさを紛らわそうとしていることに気づいていない人も多いとも言われています。
「困っている人・かわいそうな人」を好きになりがちな人は,結局相手に振り回されてヘトヘトになっているのをよく見ます。振り回される恋愛ばかりして悩んでいる人は,人を救う前にまず自分の心を振り返ってみても良いのかもしれません。
<参考文献>
Festinger, L. (1957). A theory of cognitive dissonance. Stanford University Press.
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執筆担当:心理学部学生広報チーム
藤城 銀士 心理学部心理学科2年次生
「最近,電子ピアノを買いました。五線譜を読む練習をしています」