心理学部 2020年度後期授業について

心理学部
2020.09.04

2020年9月4日

心理学部 2020年度後期授業について

〜心理学部の学生および保護者の皆さまへ〜

心理学部長 秋山 学

 

今年度前期授業がすべて遠隔授業となり,期待していた本学での大学生活を過ごすことができず残念な前期であったと思います。大学に行って友人と会うこともできず,遠隔授業に取り組むことは忍耐を強いられることだったでしょう。保護者の皆さまも,自宅や下宿先で遠隔授業に取り組む学生を見守ることへの気遣いやご苦労も絶えなかったことと存じます。

 

後期の心理学部の授業は,本学学長からのメッセージにもありますように,国家資格(公認心理師)養成を行う学部として,実習を中心とする一部の授業を原則として対面授業により実施します。心理学部の教育として,実習教育に力を入れているためです。実習では学生自身がいろいろな課題や作業を周囲の学生とともに行い,心理学の学びを深めていきます。また,心理学部では,公認心理師という国家資格取得を目指して学修に励む学生も多数います。公認心理師を目指す学生にとって,後期に原則対面授業を実施するとした科目は教員や学生同士が対面状況で実習を行うことが必要な科目でもあります。

 

ただし,実習授業を対面で実施するために,それ以外の科目は遠隔授業が中心となります。実習を行うために,教室や実習室内で十分なソーシャル・ディスタンスを取ることを踏まえると,今までの倍以上のスペース・教室を必要とします。15名のゼミでも50名規模の教室で行う必要があります。大学内の教室の数や教室の大きさには限りがあります。心理学部が実習で従来よりも多くの教室を確保すれば,他学部も含め,同じ時限に開講される講義との調整も必要になります。残念ではありますが,ソーシャル・ディスタンスを確保して,対面授業を実施するのに十分な広さを備えた教室が大学では足りないのです。この教室不足の状況は、他大学でも同様に生じています。そのため、残念ではありますが,対面授業出席のため大学に登学する機会は,皆さんの期待より少なくなるでしょう。

 

ソーシャル・ディスタンスの確保,手指消毒の徹底,登学にあたって事前に『神戸学院大学体温・風邪症状チェック表』を作成・持参することなど,対面で授業を実施するために新たにお願いすることも多くなります。これは,学生やその関係者そして教職員の健康を護ることを優先し,安心・安全な環境で教育を行うことを心理学部として大切にしているためです。心理支援を通して心の健康と保持増進に役立つ公認心理師を養成することを学部教育の主な目標の一つとする心理学部の方針をご理解いただきたいと思います。

 

心理学部で学ぶ学生のみなさんには,同級生や先生方の中に配慮が必要な方々がいることにも思いをはせていただきたいと思います。本人やご家族が基礎疾患を抱えている同級生、高齢の祖父母と同居している同級生、身体の弱い先生,障がいを持つ先生,高齢の先生の中には,キャンパスに来て対面で授業に参加することが難しい方もいます。対面での授業を行いたくてもそれが出来ない先生,参加したくても大学に来られない同級生のことを想い,寛容に受け止めていただくことを願っています。

 

後期も遠隔授業は継続していくことになります。新型コロナウイルス感染症拡大により,私たちの暮らしや学校,そして,みなさんが将来働く職場において急速にオンライン化が進んでいます。これまでのようなSNSの活用に加え、職場ではWeb会議が行われており、就職活動も会社説明会やインターンシップはもはやZoomが主流です。カウンセリングではオンライン・カウンセリングの利用,医療でもオンライン診療の試みが始まっています。このようにコミュニケーションのスタイルが変化することには長所もありますが、大きなストレスも伴います。この激動の時期における心の安寧や健康を考えることは,社会の中で心理学をどのように活用するかを考える生きた学びでもあります。遠隔授業やオンラインでのコミュニケーションの中で感じること,再開される対面授業のコミュニケーションの中で感じること,双方の利点と課題を学生の皆さんが自ら考え,自分にあった学びのスタイルを見つけていくことは,心理学の理解を深めるチャンスです。この急激な変化の中で、今後ますます心理学的な知見は必要とされるでしょう。

 

新型コロナウイルスによって大きく変わりゆく社会に振り回されるのではなく,ポストコロナ社会を見据え,新しい社会を乗り切る知恵やアイディアを学生の皆さんと心理学部教職員で一緒に考え、ともに乗り切っていく2020年度後期でありたいと思います。